
「布団に入っても眠れない」「眠っても夜中に何度も目が覚める」「朝早く目覚めて二度寝できない」——こうした状態が数日続くと、日中の疲れも抜けにくくなります。短期間で戻ることが多い不眠と、医療の助けが必要になる不眠は、続いている期間と日常への影響で見分けます。
この記事では、不眠を「整理する」視点から、受診の目安・原因の見立て方・伝えるときのメモの取り方をまとめます。診断や治療を判断するものではありません。気になる症状は、必ず医療機関にご相談ください。
不眠は4つのタイプに分けて整理する
「眠れない」と一口に言っても、出かたが違います。受診時にも医師がこの分類を確認することが多いので、自分がどのタイプか整理しておくと話が早く進みます。
- 入眠困難:布団に入ってから寝つくまでに30分以上かかる
- 中途覚醒:眠ってから夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒:起きたい時刻より2時間以上早く目覚めて、その後眠れない
- 熟眠障害:眠った時間のわりに、起きたときに眠った感じがしない
2つ以上が組み合わさることもあります。「どのタイプが、どれくらいの頻度で続いているか」を整理しておくと、医師に伝えやすくなります。
受診を考える目安:2週間が一つの区切り
厚生労働省の『健康づくりのための睡眠指針』では、不眠が週3回以上・1ヶ月以上続き、日中の生活に支障が出ているとき、医療機関への相談がすすめられています。
ただ実際には、1ヶ月待たずに相談したほうがよい場面もあります。次のような状態が2週間以上続くなら、早めに受診を検討してみてください。
- 日中の眠気で仕事や家事のミスが増えた
- 睡眠時間が短く、頭痛・動悸・食欲不振など体の不調も出ている
- 気分の落ち込みや不安が同時に強くなっている
- 市販の睡眠改善薬を毎晩のように使うようになった
- お酒を飲まないと眠れなくなった
とくに最後の「お酒で眠る」習慣は、悪化のスピードが早いことが多いので、その時点で一度相談先を整理することをおすすめします。
原因の見立てに役立つ4つの視点
不眠の原因はひとつではなく、複数が重なっていることがほとんどです。受診前に次の4つの視点で振り返ると、医師との話し合いがスムーズになります。
1. 生活リズムの変化
勤務シフトが変わった、休日に長く寝る習慣がついた、就寝時刻が日によってバラバラ——こうした変化は体内時計を乱します。「いつから生活リズムが変わったか」を書き出しておきます。
2. ストレス・心配ごと
仕事の繁忙期・家族の体調・引っ越し・人間関係。直近2〜3ヶ月で起きた変化を書き出すと、不眠の始まりと重なることが多いです。
3. 体の不調・服用中の薬
痛み・かゆみ・頻尿・咳・むずむず脚など、夜間に出る体の症状は、それ自体が不眠の原因になります。市販薬・処方薬・サプリの中にも、睡眠に影響するものがあります。お薬手帳を持参すると話が早いです。
4. 寝室環境・嗜好品
カフェイン(コーヒー・お茶・栄養ドリンク)、アルコール、夜間のスマホ・PC、寝室の明るさや温度。改めて見直すと意外な要素が見つかります。
受診前にメモしておきたい3つの項目
診察時間は限られています。次の3つを箇条書きでメモしておくと、限られた時間で必要な情報が伝わります。
- 困っていること(1〜3個に絞る)例:「寝つきに2時間以上かかる」「朝4時に目覚めて眠れない」
- 続いている期間と、きっかけ例:「3週間前、職場の異動の頃から」
- 日中への影響例:「集中力が続かない」「電車内で居眠りが増えた」
診断書や処方を急がず、まずは「整理」から始めるつもりで受診すると、肩の力が抜けます。
受診先:精神科・心療内科・睡眠外来の違い
不眠の相談先は、症状の出方によって選び方が変わります。
- 心療内科:ストレス・不安が背景にありそうなとき。体の症状(頭痛・動悸など)も併発している場合は心療内科が選びやすい。
- 精神科:気分の落ち込み・不安症状が強く、不眠以外の精神的な不調もあるとき。
- 睡眠外来・睡眠科:いびき・呼吸が止まる・脚のむずむずなど、睡眠中の身体症状が中心のとき。
初診はどこを選んでも問題ありません。通いやすさ・予約の取りやすさで決めても大丈夫です。精神科と心療内科の違いについては、関連記事「精神科と心療内科の違い|どちらに行けばよいか整理する完全ガイド」も参考にしてください。
生活でできる、夜の整え方
受診と並行して、または受診を待つ間にできる工夫もあります。すべてやろうとせず、できそうな1つから始めると続きます。
朝の光を浴びる
起きて1時間以内に、5〜10分でも外の光を浴びます。曇りの日でも、室内よりは十分明るいです。これだけで体内時計の調整が始まります。
カフェインの時間を区切る
カフェインの効果は6〜8時間続きます。15時以降のコーヒー・お茶を見直してみます。
寝る前のスマホを少しだけ短くする
急にゼロにする必要はありません。「布団に入ってからは見ない」と決めるところから。タイマー機能を使うのも手です。
眠れない日は布団から一度出る
布団に入って30分以上眠れないとき、布団は「眠れない場所」として脳が学習してしまいます。一度起きて、暗めの部屋で本を読むなど落ち着く動作をしてから戻ります。
・よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
・いのちの電話:0570-783-556
・お住まいの精神保健福祉センター(自治体名 + 精神保健福祉センター で検索)
まとめ:不眠は「整理してから動く」
不眠は「眠らなきゃ」と思うほど眠れなくなる、独特の苦しさがあります。一人で抱え込まず、次のステップに進めるよう、まず状況を整理することから始めてみてください。
- 4つのタイプのうち、自分がどれに当てはまるか
- 続いている期間と、日中への影響
- 受診先は通いやすさで選んでよい
- 朝の光・カフェイン・スマホの3つから整える
整理シート(無料PDF)には、これらをそのまま書き込める欄があります。受診前、または受診に行くかどうか迷う段階で、ぜひ使ってみてください。
この記事は、厚生労働省・自治体・精神保健福祉センター等の公的情報をもとに、こころログ編集部が一般の方に届く言葉で再構成しています。診断や治療判断を目的としたものではありません。具体的な症状や治療については、必ず医療機関にご相談ください。
※この記事についての注意
本記事は、精神科の診断・治療・薬の判断を提供するものではありません。症状や受診について判断が必要な場合は、主治医・かかりつけ医・各地域の精神保健福祉センター・保健所に直接ご相談ください。
本人または家族の身に危険が及ぶ恐れがある場合は、110番・119番・お住まいの地域の精神科救急情報センター・いのちの電話・よりそいホットラインをご利用ください。
記載している制度・支援機関の情報は2026年5月時点のものです。最新情報は厚生労働省・各自治体の公式サイトでご確認ください。

